2013.8.14 /

ストレスのない暮らしを

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遺伝的な素因に若齢時のストレスが重なると脳内の遺伝子が機能を停止し、その影響は大人になっても続くことが
最近のマウスにおける研究で明らかになり、Scienceに掲載されました。

DISC1という遺伝子に変異があるマウスが若い時に強いストレスを感じると、神経伝達物質のドーパミンを作る酵素
の遺伝子が正常に働かなくなり、認知機能や意欲が減退します。こうした変化はストレスが解消した後も長く続いて
しまうようなのです。

遺伝子のスイッチをオン・オフする仕組みは「エピジェネティクス」と呼ばれます。受精卵から分裂してできる
同じ細胞が発生の過程で異なる形や機能に分化していくのは、エピジェネティクスにより、細胞ごとに異なる
遺伝子が発現するためです。近年、エピジェネティクスが環境要因によっても起きることが次々と
明らかになっており、生活習慣病の発症や、iPS細胞が多能性を獲得する仕組みなどとも関連するとして
注目されています。

マウスと同じく、人間でも幼少期や成長期にストレスを経験すると行動パターンが変わり、
大人になってからも精神疾患を発症しやすくなることが知られています。病気には生まれながらして持っている
遺伝的な要因に、生活する中で出会う環境的要因重なって起きるものが少なくありません。
精神疾患もその一つです。

犬や猫も子供の頃にあまりさみしい思いや辛い思いをさせるとその後、分離不安や攻撃性、
自傷行為などの問題行動を起こす傾向があるそうです.大切な時期になるべくストレスのない暮らしをさせることで、
その後、飼いやすい子に育つ可能性が高くなると考えられます。仔犬、子猫の頃に親や兄弟に囲まれ、
たくさん愛情をかけてもらって健全に育った子を譲り受け、大切に育ててあげることで、遺伝的な素因はともかく、
その後の共同生活が素敵なものになる可能性は、より高くなるようです。