2013.10.19 / ,

ガン検診?

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最近,ガン検診を実施しても実際には役に立っていないとする研究発表が続々とされています.

マンモグラフによる検査で乳ガンが発見されても,命が救われるわけではないようです.アメリカで年間に検出される
13万8000件の乳ガンのうち,大多数の12〜13万4000件については検査が役に立っていないことが明らかになりまし
た.これらの事例は,ガンの進行が非常に遅いため問題を起こしていないか,もっと後で発見されても十分に治療できる
か,非常に悪性で手の打ち用がないかのいずれかでした.前立腺ガンの抗原検査については,全体として救命に役立って
いないというさらに厳しい見方をされています.

検査の有効性は様々でも,どうやらこれらの検査には根底に一つの数理的な問題があるようなのです.比較的まれなもの
を検出しようとするときには,結果が陽性と出ても誤りのことが多く,命を脅かすガンが検査で発見されても,実際には
存在しないか,命に関わるものでないことがほとんどらしいのです.

この種の問題は,心理学と数学のあいだの曖昧な領域で常に発生するようで,検査によって救われる命は実際にはあまり
多くないのに検査が有効に思えるのは,検査がもたらす悪影響よりもそうした印象の方が心理的に得られやすいから
なのだそうです.要するに検査があってもなくても助かったのに,検査のおかげで助かったと思い込みやすいから
だということです.

しかし,動物病院の定期検診は毎年受けることをオススメします.ヒトと違い動物は喋れないので,早く気づけば
助けられた病気も気づいた時には手遅れということが往々にしてあるからです.