2015.4.8 /

新しい抗炎症物質

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NLRP3は,溶血性貧血,炎症性腸炎,アレルギー性皮膚炎,リウマチ,2型糖尿病などの自己免疫性疾患,自己炎症性疾患
に関わり,炎症を促進する物質として知られるインフラマソームの構成タンパク成分です.

最近の研究で,β-ヒドロキシ酪酸(BHB)(エール大学医学大学院 V.D.Dixitら),
MCC950(トリニティカレッジ L.ONeillら) の二つの物質について,NLRP3を直接阻害する事で
炎症を抑制する作用があることが明らかになりました.

特にMCC950においては,インフラマソームの感染を抑制する部位には影響を及ぼさないことも分かりました.
自己免疫性疾患や自己炎症疾患モデルのマウスにBHB,あるいはMCC950を投与すると,特にMCC950では
個体の抵抗力を下げずに,炎症症状を抑制,緩和する効果が見られたのです.

BHBは絶食や激しい運動,カロリー制限や低炭水化物のケトン誘発食の摂取に応答して体内で生産されることが
知られています.

BHBの作用もMCC950と同様,インフラマソームの感染制御に関しての成分に影響しないのであれば,
ステロイドや免疫抑制剤による長期治療が必要な疾患,肥満ネコの糖尿病やその他
様々な免疫が関わるとされる疾患において,積極的な運動や時々の絶食,低炭水化物食の摂取は
これらの疾患の症状緩和や治療に役立つ可能性があるかも知れません.Nat Med 2015 Mar;21(3):248-55.