2016.11.2 / 動物科学ニュース
乳がんと細菌の関係
近年,腸内細菌を代表とする体内で生活しているの細菌に関する研究が増えています.
ヒトの乳房内にも細菌は存在し,健康に大きな影響を与えているらしいことが,
最近,Applied and Environmental Microbiology誌にて掲載されました。
乳がんの原因についてヒトではほとんどの場合原因不明とされていますが,年齢,遺伝,環境
などとの関連が考えられています.そして,授乳によって乳がんのリスクが低下することを示した
報告など,細菌の存在がそうした要因の一つになっている事を伺わせる研究結果が,
近年までに示されるようになってきました.
乳がんがあるヒトの場合,腸内細菌科やブドウ球菌が多く,乳がんのないヒトにはラクトコッカスや連鎖球菌属
の菌が多かったようです.
細菌のせいでガンになるのか,ガンのある乳腺に特定の菌が繁殖するのかはまだはっきり
していないようですが,腸内細菌,ブドウ球菌属の細菌の中には,遺伝子を傷つけたり
炎症の原因になるものもいるようです.
イヌやネコの場合早期の避妊手術が乳がんの予防に有効であることが分かっています.しかし,
いろいろな理由で手術をしていない子たちもたくさんいます.その子たちがラクトコッカスなど
の菌を含む食品を日常的に摂取することで,もしかしたら乳がんの予防や治療に役立つことが
あるかも知れません.
ちなみにラクトコッカス属の菌は一般的な乳製品やカスピ海ヨーグルトに含まれています.